寺井尚子ヴァレンタインジャズコンサートインタビュー
平成19年2月10日(土)

寺井尚子カルテット
寺井尚子
(vln)、北島直樹(pf)、嶌田憲二(b)、中沢剛(ds)

寺井尚子(てらい なおこ)
神奈川県出身。4才からヴァイオリンを始め、1995年にケニー・バロンと共演を機に彼のアルバムにゲストに招かれNYにて初レコーディング。
ドクター・ジャズも当時より支援し、今ではトップジャズヴァオリニスト。


T:寺井尚子
I:インタビュアー(岡崎市シビックセンター)

I内田先生との出会いやエピソードについておしえてください。

T:いちばん最初の出会いは、たぶん私が演奏しているジャズクラブに聴きに来てくれたのが最初ですね。内田先生の存在は話で聞いて知っていたんですけれど。私のライブに来てくれたっていううれしさが、つい昨日のことのように思い出されます。

Iそれはいつ頃ですか。

T:十数年前でしょうかねぇ。

Iでは、それ以来、先生とおつきあいがあるわけですね。

T:はい。たぶんどこかでお会いすることが、その前後であったかと思うんですが、自分としては、いちばん自分の演奏を聴きに来てくれたことが忘れられない出来事です。そのときはジャズクラブで演奏をはじめて間もない頃でしたから、とても励みになりました。

I今現在、こうして十数年来のおつきあいになるわけですが、寺井さんにとって内田先生はどのような存在でしょうか。

T:とても正直な方です。音楽に関しては特に。お会いすると、ほとんど音楽の話が主ですね。あとは冗談でいろんな楽しい話もしますけど。こと音楽のことになると本当に正直です。ですから、いいときはものすごくほめてくださるんですけど、普通以下のときはたぶん黙っていらっしゃるんだと思います。そういうことが、自分のときもそうだし、他の演奏を私も聴きに行ってご一緒したときにありましたので。先生の一言って、すごく軽くおっしゃるんだけれど重みがある。だから、いくつか私に言ってくれたうれしい言葉で本当に大切にしているものがあります。

Iもしさしつかえなければ、おしえていただけますか。

T:それは私の胸にしまっておきます。たぶんその演奏を聴いて先生がその瞬間に思ったことをポッと声に出して言ってくださったんだけど、本当にうれしかったですね。

I先ほど、ジャズコレクションの展示室をご覧いただきましたが、その感想をお願いします。

T:私は丘の上の展示室(美術博物館)に、オープニングのときに行ったことがあって、あそこと錯覚するくらい置き方や展示の仕方が似ていて、あれ、私ここに来たかしらって錯覚するくらい内田先生の香りたっぷりでした。
今日、驚いたのは下の棚にすごくきれいに製本された本がずらーっと並んでいて、これは何? って聞いたら、レコードジャケットっておっしゃって。ライナーノーツをはじめ、こちらのスタッフの方が全部コピーして作ったという、その熱意に感動しました。

Iジャズの街岡崎になにか期待することはありますか。

T:内田先生の素晴らしいコレクションがひとつの軸となって、岡崎の街全体が「ジャズの街」ということに今発展しようとしているわけだけど、それは私がメッセージとしてずっと思っている、ジャズってちょっと難しいかな? と思っているたくさんの人たちにジャズは楽しいし、気軽に来てくださいっていうことを言っていて、そこにすごく向かっている。
なんて言うんでしょうか、目的が一緒っていうか、本当にこのコレクションが軸となって、街全体がジャズで、ジャズを聴いたことがない人もなんだか来ちゃったわ、っていう未来は素晴らしいなって思います。

Iどうもありがとうございます。この後の演奏をみなさん楽しみにしておりますので、よろしくお願いします。



K:北島直樹(pf)
I:インタビュアー(岡崎市シビックセンター)

Iよろしくお願いします。北島さんにとって内田先生はどのような存在ですか。

K:もう相当昔になるんですけど、日野元彦さんのズームというバンドがあって、一緒にやっているときに岡崎で公演があって、その帰りに先生の病院がまだある頃、おじゃましたことがあります。下のスタジオに連れていってもらって、まずその膨大なレコードの数と、それからすごく印象に残っているのが、当時佐藤允彦さんというピアニスト、僕らの大先輩ですが、その佐藤さんともう亡くなられたんですが鈴木宏昌さんとのデュエットを聴かせていただいて、それが非常に印象に残っています。

I先生のスタジオですね。

K:その時、先生が「お前はまだわかんないだろうけど、真面目にやっているヤツと僕はつきあうから」って言われたのを僕は覚えています。それでよろこんで年賀状を出したら返事が来なかったですけどね(笑)。

Iということは、かなりおつきあいが長いわけですよね。

K:いえ、お会いしたのはそのときと、たまたま阿川泰子さんをやっていて、その後名古屋で公演があったときに先生がわざわざ来てくれたことがあって。俺のこと覚えていてくれていたのかなって、うれしかったです。
それから20年くらいお会いしてなかったんですが、たまたまスターアイズに行ったら来てくれて、僕のCDも買ってくれて。覚えていてくださったんだなって。とっくに忘れられていると思ってたんで、すごくうれしかったです。

Iそれでは真面目にやっている人の中にちゃんと入っていたわけですね。

K:うーん、微妙なんですけど。なんだかよくわからないんですけど。どうなんでしょうか。

I先生との思い出やエピソードはありますか。

K:今、お話したことがすべてじゃないかな。最近だと尚子さんのライブでブルーノートにいらっしゃるときにお見かけするんですが、ほんとうにお話したのはたぶん4回くらいだと思います。お宅におじゃましたときと、阿川さんの名古屋市民会館、それからスターアイズくらいですが、僕はすごく印象に残っています。

I先ほど、ジャズコレクション展示室をご覧いただきましたが、その感想などありましたらお願いします。

K:トコさん(日野元彦さん)のドラムセットが置いてあったり、宮沢さんのテナーサックスが置いてあったり、ちょっと感慨深いものがありました。トコさんのドラムセットなどじっと見つめてしまいました。

I岡崎は今、「ジャズの街」として売り出そうとしていますが、ジャズの街岡崎に期待することはありますか。

K:ジャズは、僕らの若い頃はみんなが聴いていたんだけれど、今は聴く人が少なくなっちゃって、伝統芸能──タンゴとか歌舞伎とかに近いような感じになっていますよね。できればもっとみなさんに、若い人にも聴いてもらいたいなと思います。たとえば小学生の頃から聴く機会があるとか。

I実際は聴いているんですよね。コンサートとして聴いているわけではないでしょうが、CMとかでは使われていますし。

K:そうなんですよね。居酒屋とかではかかっているんですけどね。

Iそうですよね。それなのになんとなく遠くなっていますよね。

K:なんかタンゴとかに近くなっていますよね。僕たちの若いときの。タンゴっていうと、ごく一部の人しか聴かないじゃないですか、今でも。ジャズも僕らの頃はけっこう少なかったけれど、一応主要都市にはジャズ喫茶があったし、ライブハウスもだいたい県庁所在地だったらどこでも日本全国ありましたよね。それが今はほとんどなくなってしまった。いろんな原因があるんでしょうけれども。
もういちど、ああいうような時代、たとえば1970年代とか、自分が高校生か大学生っていう時代が来ないかな。岡崎市にはひとつ頑張ってもらって、全国に向けての発信地になっていただきたいですね。

Iそのためには今後も岡崎にいらっしゃってください。本日はありがとうございました。



S:嶌田憲二(b)
I:インタビュアー(岡崎市シビックセンター)

Iよろしくお願いします。先ほど、ジャズコレクション展示室をご覧いただきましたが、その感想がありましたらお願いします。

S:僕はボストンのバークリーという大学で勉強したんですけど、そのときに学校にもライブラリー(図書館)があったんですね。いろんなことを授業で学んだんですけど、バークリー生活で特に印象に残ったのが、図書館で自分の好きな音楽をたくさん聴けたことと、自分で知らない音楽も図書館で偶然出会って、あっこれは何だ? みたいな、そういうことで音楽を学んだことがいい経験だったんです。日本に帰ってきて思ったのは、そういう場所があんまりないんですよね。東京でも区とか市の図書館に多少ジャズはあるんですけど、そこまでレアなものとか、そういうものはもちろんない。
先ほど初めて内田先生のコレクションを見て、正直最初に受けた印象は、うちの近くにあればなあ、です。やっぱり聴くことはいちばんの勉強になる。たくさんあって、そこから自分でチョイスして選んでいくことは良いことだと思います。ジャズを学ぶには、聴くことがいちばんです。接する機会というのが、ライブも含めて、こういうかたちでライブラリーであれば、すごくいいと思います。本当にうらやましいなあ、いい環境だなあと思いました。

Iレアという部分では自信があります。

S:強力ですね。

Iまた、ぜひいらしてください。

S:ぜひ新幹線で来て聴きたい、というくらいのものがたくさんありました。

I今、岡崎は「ジャズの街」として売り出そうとしていますが、ジャズの街岡崎に期待することはありますか。

S:そうですね、さっきと重複するんですけど、こういういい場所があるわけですから、みんながこの場所を存分に利用して、いい音楽を聴いて、やっぱりライブもいいなって思う。そしてライブに行って、どんどんジャズを好きになる。そういう人がたくさん増えてくれればいいなあと思います。これは貴重な図書館ですし、存分に利用してほしいと思います。

I生の演奏も重要だと思いますので、またこちらに来ていただいて、素敵な演奏をお願いします。ありがとうございました。



N:中沢剛(ds)
I:インタビュアー(岡崎市シビックセンター)

I先ほど、ジャズコレクション展示室をご覧いただきましたけど、その感想がありましたらお願いします。

N:うちの近所にあれば、毎日でも行きたいなっていうのが正直な感想です。また規模が大きくなるということでしたよね。

Iそうです。平成20年に大きくなります。

N:そうするとますます行きたくなるというか、この街に住みたくなるって感じです。非常に貴重な資料がたくさんありますし。

Iなによりも売りは、プライベートテープをCD化したものです。

N:あれは全部聴きたいですね。まだまだたくさんあるんですよね。全部聴きたいです。

I移転した後は、ドクターズスタジオの再現をおこないます。その中でレコードを含めて聴けるようにする予定です。

N:いいですよね。今はなかなかレコードを聴く機会がないので、じっくりとプライベートで何日か泊まってゆっくりとジャズに浸りたいって正直思いました。

I今、岡崎は「ジャズの街」として売り出そうとしています。そんな岡崎になにか期待することはありますか。

N:まずは僕もこの岡崎からジャズを発信するという気持ちで、今日も演奏させていただきます。それから、なんらかのかたちでジャズという音楽、内田先生もそうですし、岡崎という街に貢献したいなと思います。

Iありがとうございました。