内田先生との出会いは7年前
 内田先生と初めてお会いしたのは今から7年前。名古屋のライブハウス、ジャズ・イン・ラブリーのマスター、河合勝彦さんのご紹介でした。その夜、私はラブリーで歌うことになっていて、河合さんが「一度、聴いてみてください」と先生をわざわざ誘ってくださったのでした。
 ライブのあと、先生が声を掛けてくださいました。でも、その時なんと言われたのか、正直いうと覚えていないんです。「Dr Jazz」と尊敬される先生ですから、緊張しちゃって。ただ、先生の笑顔を見たとき、喜んで頂けたことだけはなんとか理解できて、ホッとする気持ちの方がずっと大きかったです。
 その後もライブを聴きに来ていただくたびにお声を掛けてもらい、食事をご一緒させていただく機会もありました。そうするうちに、いつしか「怖い先生」が「どこかお茶目な先生」に、私の中では変わっていったようです。だってライブをお聴きの時の先生は、ちょっと失礼かもしれませんが、まるで少年のように邪気のない目と笑顔をしていらっしゃるんです。
 ある時、こんなことがありました。ラブリーのトイレで偶然、先生とハチ合わせしてしまったんです。先生は「あ〜、洋子ちゃんか。たまには胸でも触らせてくれよ」と笑っておっしゃったんです。思い切って「ダメですよ。5千円ですよ」と言ってみたら、先生は即座に「2千円にまけてくれよ」だって。思わず笑ってしまいました。
 いま思えば、それは先生一流の気遣い、優しさだったんですね。先生の前ではどうしても緊張してしまっていた私が、それ以来、自然に先生とお話しできるようになったんですから。


人に何かを感じさせる歌を歌いたい
 先生にはこの7年間で数え切れないほどのミュージシャンの方をご紹介いただきました。そしてそのたびに先生は「とても頑張っているヴォーカルだよ」と付け加えてくださいました。それが私にとってどんなに励みになってきたか。言葉ではとても言い尽くせません。
 音大ではクラシックピアノをやっていた私ですが、今はジャズと出会って本当に良かったと思っています。「自分がやりたかったことに出会った」。そんなカンジ。もちろんまだまだ未熟な私ですが、「人に何かを、それが楽しいことであっても、哀しいことであっても、何かを感じさせる歌」を歌えるようになりたい。それをいつもいちばんのこととして、歌い、また日々を生きたいと思っています。
 2004年4月中旬からはカナダに留学します。1年になるか、1年半になるか、何も決まっていない旅ですが、しっかり勉強して、きっと大きくなって帰ってきたいと思っています。先生、期待して待っていてくださいね。



榊原洋子(さかきばら ようこ
愛知県生まれ。小学生の頃よりクラシックピアノを習い、名古屋音楽大学ピアノ科卒業後、ジャズ弾き語りのレッスンを受け、地元ライブハウスを中心に活動を始める。恵まれた体格とジャズに適した豊かな響きのヴォーカリストとして評判を呼んでいる。


榊原洋子&後藤浩二トリオ 左から黒田和良(ds)、後藤浩二(pf)、榊原洋子(vo)、島田剛(b)


名古屋ジャズインラブリーにて。

メッセージ「アーティスト編」TOPHOME.