.


特別講演会「内田修ジャズコレクションの可能性を探る!」

平成19年11月18日(日)に開催した特別講演会「内田修ジャズコレクションの可能性を探る!」をブルー・ウエーブ・ジャズ・フォーラムのカモちゃんこと鴨下敏彦がレポートします。




突然の指令

内田修ジャズコレクションが、現在の市シビックセンターから 来年11開館予定の「岡崎市図書館交流プラザ(りぶら)」に移転される。今回は“岡崎市図書館交流プラザ開館プレイベント”として、ジャズ専門誌「スイングジャーナル」の元編集長児山紀芳氏や国際的ジャズピアニスト守屋純子さん等を招いて「コレクションの可能性を探る!」をテーマに講演やシンポジウム、ジャズライブが開催された。

当日 我々ボランティアスタッフは午前11時に集合。スタッフ用に用意されたウインドブレーカーを着ていると、我々ブルー・ウエーブ・ジャズ・フォーラムの柴田代表がばっちりスーツを着込んで現れた。今日はパネラーなのだ。 
お!馬子にも衣装っすね。 
「 ば〜か、なに言ってんだ。カモちゃんが一番暇そうだから今日のレポートはカモちゃんに任せた!」  
そりゃないよ、僕だって忙しいっすよ。でも1度はやってみるか。


講演会 

定員400人のところ今回も大勢の方が応募してくださった。
開場が午後2時30分のところ午後1時には早くも最初のお客様、知立市の浅野恒雄さん
「ジャズを聴き始めたのは終戦後、進駐軍が来てNHKラジオが急遽電波を増やしたAFRS放送だった」…僕の生まれるずっと前の事、もっと詳しく聴きたいけど…。    
開場時には100人以上の列、男女半数ずつ、平均年齢は40代後半か。
夫婦、親子、友人同士、いつものようにジャズファンの熱気がムンムン。 
講師の児山氏は大阪府堺市出身、現在はNHK-FMのジャズ番組「ジャズ・トゥナイト」のレギュラー解説者として活躍中だ。
児山氏「子供の頃、ラジオから流れる音楽に刺激を受けてね、それが外国の音楽と分かり、ああ、いいなあと思ったのがジャズだった。江利チエミもジャズだった。今で言うところのポピュラー音楽がその当時はジャズだったんだ。仕事柄聴くのはジャズが多いけど、この前石川さゆりの35周年公演は感動したよ」
あ、僕も石川さゆりのファンです。妙に親近感を感じるなあ。
講演では内田先生との関わりや収蔵コレクションの価値、世界中のミュージシャンのコレクション等、スイングジャーナル編集長だからこそ知り得た情報も!

プログラムに掲載した講演会の要旨

特別講演会「内田修ジャズコレクションの可能性を探る!」要旨

ジャズのグローバル化が顕著になってきたいま、アメリカ本国のみならず、独自にジャズを育んできたヨーロッパやわが日本にとってもジャズがいかにして定着し、発展してきたかという歴史的な歩みを記録として後世に伝えるための資料の蒐集・保存といった“コレクションの整備”は緊急の課題になりつつある。

ジャズを生んだアメリカでは、つい最近、ジョン・コルトレーンが「至上の愛」を作曲した家として知られるニューヨーク州ロングアイランドのハンチントン市にある建物が、ニューヨーク州並びに米国の歴史的文化財に指定され、永久保存されることが決まった。

この住居はジョン・コルトレーンが1964年から1967年に他界するまで住んでいた家で、コルトレーンの没後も一家が1973年まで住んでいた木造の住宅。

たまたま2004年に地元のデベロッパーが地域一帯を新興住宅街に開発する計画が持ち上がったのをきっかけに、地元の文化人でジャズ愛好家が立ち上がり、遺産の保存のための運動が始められ、カルロス・サンタナやハービー・ハンコックといった有名ミュージシャンがこれに共鳴して、世界規模の運動にまで広まった結果、最終的にはハンチントン市が文化財として購入、開発にもストップがかけられた。

50年代に建造された住宅が、州や国のランドマークに指定されるのは異例のことで、建物は今後、ジョン・コルトレーンの遺品などを蒐集・保存する記念博物館に改装され、永久保存されることになっている。

 この一例からも明らかなように、今日、アメリカでは連邦政府・州・市などあらゆるレベルでジャズを文化として捉え、地域のジャズの歴史や変遷の伝承、地域が生んだ有名ミュージシャンの顕彰──といった試みに積極的に取り組みはじめている。

夭折したトランペットの天才クリフォード・ブラウンの生まれ故郷デラウエア州のウイルミントン市では故人の偉業を後世に伝えるために「クリフォード・ブラウン・ジャズ・フェスティバル」が毎年夏にシティ・センター前の広場で行われたりしている。

 世界的にも貴重なジャズコレクション「内田修ジャズコレクション」を、所蔵する岡崎市が文化財としていよいよ本格的に保存、活用するという方針を打ち出したことは、世界の潮流に呼応する快挙といっていいだろう。

ジャズがアメリカで生まれて一世紀、ジャズを記録するメディアは、78回転SP盤の時代から、ビニール素材のアナログ盤やテープ、そして現在のCD時代へとめまぐるしく変遷を遂げてきたが、12インチの四角いアナログ盤のジャケットは、中身を聴く楽しみと同時にカバーのデザインに目を奪われ、解説を読む楽しみをも提供してくれた。

CD時代になってそういう楽しみ方が半減してしまったいま、内田修コレクションの主要な部分を構成する12,000枚にも及ぶアナログ盤の価値は年とともに一層高まっていくものと思われる。岡崎市美術博物館ではこれまでにも、内田修ジャズコレクションの展示企画を実施してきたが、今後は、巡回展示といった試みも歓迎される時代が必ずやって来ると思われる。

またこのコレクションで、文化的、歴史的に最も価値が高いのは、膨大な量の録音テープ類である。その内容は、60年代から70年代にかけて内田修氏が録音したもので、いまでは日本のジャズの極めて貴重なドキュメントといえるものだ。

まだその全貌は明かされていないが、これらのテープコレクションは世界のどこにもない唯一無二の貴重なコレクションであり、その全貌を未来に向けて大切に保存し、分析、整理して、歴史的価値のある演奏を順次公開するといった試みは、本コレクションの文化財としての意義を一層高めることになる最重要テーマだ。
 
米国でも、国会図書館に長く保存されていた「ボイス・オブ・アメリカ」の放送テープからさきごろセロニアス・モンクとジョン・コルトレーンのカーネギー・ホール・コンサート(1957年)の幻のライブが発見されてCD化されたが、内田修ジャズコレクションのプライベートテープにも、これに匹敵するような日本のジャズの歴史的な演奏が数々潜んでいるはずで、その詳細が解明される日が一日も早く到来することを期待したい。

児山紀芳

[シンポジウム]  
児山紀芳氏、守屋純子さん、地元ミュージシャン今岡友美さん、ご存知山東正彦さん、そしてわれ等の柴田代表が参加、各々内田先生との関わりを紹介した後、膨大なコレクションを今後どう活かすか!に熱い議論が交わされた。会場から「新しく設置される展示室にはジャズファンの情報交換の場としても期待している」との声も。 
終了後、守屋さんが映画「シェルブールの雨傘」のテーマ曲「I will wait for you」を演奏。
会場のジャズファンを魅了した。 

市内矢作町の鈴沖勝美・忍さん(写真左)は「設置スペースがかなり広くなるようで、興味があります。
オープンしたらぜひ行ってみたい。
ジャズとの関わりは去年の純情きらりから。
それまでは何にも知らなかったんだけど、今はジャズが一番好き、ライブが楽しい」 同じような事を仰る方が何人かいた。




ジャズライブ  
「ジャズは好きな人が好きなように聴く音楽、どうぞ、皆さんの楽しみ方で楽しんでください」ジャズ食堂満腹楽団with今岡友美が、「My romance」「You'd be so nice to come home to」「Come togethe」他を熱唱。 僕は今岡さんの歌をもう何回聴いただろう、ライブの度に確実に実力が上がっていく気がする。 
ボランティアスタッフ団体のJ-mama'zの川島理恵さんは「初めて今岡さんの歌を聴いた時はびっくりした。地元にこんなミュージシャンがいたなんて、さすが岡崎!」 

市内坂右左町の村上博巳さん(写真左)は「私はダンスをやっているので音楽を聴くと自然に体が動くんですよ。今日は満足です」
アンコールは「LOVE」、会場の雰囲気は最高潮に達した。


ジャズの街 岡崎 
岡崎は古き良き日本が持っている伝統や誇りを大切にする街だと思う。
僕はこの街が好きだな。人々のつながりも暖かくて…。
児山氏が「日本中でこれほど文化としてジャズに取り組んでいる地方自治体は外に例を見ない」と言っていた。


Jmama'zの間瀬敦子さんが「こうしてジャズコレクションのお手伝いが出来る事を嬉しく思う」と話してくれたが、僕もブルー・ウエーブ・ジャズ・フォーラムのメンバーひとりとして、この岡崎がジャズの音色あふれる街!として、「(仮称)岡崎市図書館交流プラザ」に設置される「内田修ジャズコレクション展示室」がますます市民に浸透して行く事を願っている。
平成20年11月1日の開館を夢を膨らませて、期待を膨らませて待ちたいと思う。