ジャズの息づかいを感じるレコード再生を目指して揃えられたこれらのオーディオ装置。 内田氏は、日頃より生のジャズ演奏に接していたこともあって、装置の音にも厳しいクォリティを要求しました。その結果、集められたのはジャズ再生に最も適した1960年代を代表するオーディオの名器たちです。

 音の入口のカートリッジはオルトフォンSPU-A、SMEのアーム、フェアチャイルドのベルトドライブ・ターンテーブル、それに続くアンプは管球アンプの最高峰マランツのモデル7型プリアンプと出力35W+35Wのモデル8Bパワーアンプ。時に雰囲気を変える場合には、プリアンプをスピーカーで有名なJBLの隠れた逸品SG520と入れ替えて大型フロアー型スピーカー、パトリシアン800のシステムをドライブしました。

 テープの再生にはオープンリールのティアック505やアンペックス2000、カセットテープレコーターにナカミチ・モデル1000が活躍。音響処理をほどこした10坪のオーディオルーム(ドクターズ・スタジオ)とあいまって最高のジャズサウンドを聴かせました。


 内田氏のオーディオ装置を象徴するものに、スピーカーシステム、アメリカ製エレクトロ・ヴォイスのパトリシアン800があります。
 1960年代の中頃、当時はまだ完全なオリジナルシステムは輸入されておらず、スピーカー・ユニット単体が輸入されている状態で、国内でエンクロジャーを作りシステム・アップしていていました。そこで、内田氏の要望で当時愛知県の大高町にあった近藤家具製作所の社長近藤希作氏が箱(エンクロジャー)を作ることになりました。図面をもとに取り組みましたが、細部が良く分からず困った挙句、鎌倉在住のオーディオ評論家の第一人者青木周三氏に教えを受けるため、内田氏自ら徹夜で愛車のポルシェを駆って教えを請いに行きました。翌朝に舞い戻って、加工に取り掛かり、今あるパトリシアン800は完成しました。箱の外装は、オリジナルシステムにないドクター・スタジオの内装に合わせたチークの無垢材のオイル仕上げになっています。


 ドクターズ・スタジオのオーディオ再生装置は当時入手できる最高のコンポーネントで構成されていました。内田氏の耳はライブなどの生音で鍛えられており、そんな感性に応えることのできるオーディオ装置が必要でした。
とくに重要な音の入口であるカートリッジには、MC型の名器オルトフォンのA型、G型のものやMM型のシュアーV15などが用意されていました。
また音の出口には、当時花形であったJBLのスピーカーではなく、一部のプロにしか知られていない大型システムのエレクトロ・ヴォイス社のパトリシアン800が内田氏のお気に入りでした。このパトリシアン800の特徴は、最低音を受けもつウーファーの口径が76cmもあり、ジャズのウッドベースやドラムの重低音を忠実に再生できることでした。
ですから、ドクターズ・スタジオでジャズのレコードを聴くと、さながら目前でミュージシャンが演奏しているような迫力があり、「生演奏を聴くのが最高!」を信条とする内田氏は大満足だったのです。


↑カートリッジ[オルトフォンSPU-A]
↑アーム[SME3012]
↑ターンテーブル
[フェアチャイルド412
]


↑テープレコーダー[TEAC 505]


↑テープレコーダー[AMPEX2000]


↑[パトリシアン800]

レコードオープンリールテープ書籍オーディオ類ドクターズスタジオHOME.