(1)Georges Arvanitas(ジョルジュ・アルバニタ)を知ってる?
一寸ばかりJazzにうるさい連中はとかく、人の知らない名前やレコードを覚えて来て、友達に「これ知ってるかい」と聞いて見たがるものだし、もし未だ知らなかったりすると、鬼の首を取った様に無邪気に喜んで、得々と解説が始まるという次第だ。実は、今私自身もそんな心境にあるみたいで、まさかG.Arvanitasなんて人を知ってる方があれば、よくよくの物好き(もし、御存知であれば失礼!)だなんて考えている。
断っておくが、かくいう私が別にそんなに詳しい訳ではない。正直言ってほんの少しばかり元に、その名前を覚えたに過ぎないのだから---。
(2)Georges Arvanitas を知ったのは
たしか昨年、1970年、も暮れに近い頃であったと記憶するが、BYGでしか知らないといって良い程片寄っていたフランス・モダン・ジャズ・シーンにFUTURAという妙な名前のレコード会社が発足したという情報が入り、間もなく、レコード店からその現物が入ったという連絡を受けた。レコードコレクターと称する人間の通癖として、新しい物に一応飛びついて見るという癖のある私は、ぜいたくな言い種で申し訳ないが、早速、取り寄せて見たのだが、その中には、このG.Arvanitasは入っていなかった。然し同じFUTURAのLPジャケットに載っていた発売リストを見るとGER11(GER10から始まっている)として、このG.Arvanitasの名前が出ていた訳だ。勿論その時点では、この人に関する知識は全く持っておらず、新しいレコード会社が早々に売り出すんだから、きっとすごい新人プレヤーに違いないぞといった程度の全く見当違いの期待を抱いたのであった。そこで念のため、Leonard Featherの“New Encyclopedia of Jazz”(1966年版)を開いて見ると、何とちゃんとリスト・アップされているではないか。そうなると“彗星の如く現われたニューフェイス”でもないという事になるし、事実、既に古くからバリーを中心に動いていて途中アメリカに渡ってレコーディング迄している事が分ったのであった。こんな訳で、早く聴いて見たいなと思っていながら、入手の機会がないまゝ忘れかけていた時、CBS−SONYからFUTURAの日本発売権を獲得した旨の知らせがあり、続いてその第1回の新譜としてMal WaldronとG.Arvanitasを出す事に決まったから一度聴く様にと、このLPを送って下さったのである。その時、担当の伊藤潔君に「Malの方は書いて下さる評論家の方は沢山あるが、G.Arvanitasの方は、引き受け手がないからよろしく」とその解説を頼まれてしまった。この文章を読んで下さっている読者の方には申し訳ない様な裏話であり、「そんな引き受け方をして、物知り顔をするなんて、ひどい奴だ」とお叱りを受けそうな事は、重々承知なのだが、一つにはこの所ヨーロッパ専門(勿論クリティックなんてものでなく、あく迄一人の愛好家としてだが)なんて、喜んで良いのか悲しむべきか分らないレッテルを頂きつつある私でも、この程度だからと、安心して貰いたいばっかりに内幕を打ち明けて見たのである。