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GOLDEN LIVE STAGE/ 国仲勝男

  昨'79年10月29日(月)、僕は、何となく、浮き浮きした気分になっていた。この夜、名古屋で「ゴールデン・ライヴ・ステージ」の公開録音が行なわれる事になっていたからだ。サブ・タイトルの「'80年代へのジャズ・フュージョン」というのは、いかにも大げさで、一向にぴんと来なかったが、メインの「THE SSAB(ザ・スーべ)」というタイトルが気に入った。勿論、ジャズメン用語の「スーべ」=「ベース」は、昨年最大の発掘といっても良い大型新人ベーシスト、国仲勝男を全面的にフィーチュアしますよという意味合いなのだ。
 もっとも、その数日前、S.J誌からこの夜の「コンサート・レポート」を依頼された時は、盛り上がった気分の出鼻をくじかれたみたいでいさゝか、がっくりしたものだ。誰だって、折角のコンサートを構えた姿勢で聴きたくもない。が、然し、不思議な事だが、この日ばかりはそんな責任感も一向に負担にならなかったのは、つまる所、国仲と彼を支える仲間達の創り出す音楽が、とてつもなく楽しいものに違いない―――そんな期待の方が、はるかに上まわっていたという事なのだろう。
 この日同行したのは、偶然にも同じベーシストの吉沢元治だ。この男、何時の頃からかジャズのフォーマットに背を向けてフリーの世界にまぎれ込み、金にもならぬソロ・コンサートで放浪の日々を送っている。その信念は賞めてやっても良いが、何故か一年に一度程、旅に疲れ酒に飲まれて、我が家に羽根を休めにやって来る。この時もおよそ1か月程滞在し、そろそろ飛び立とうかという時だった。
 「おい吉沢君よ。国仲っていうベース知ってるかい。」「いやー全然。何ですか、それはー。」「今夜、洋輔君や武田君と一緒にやるんだけどね。」「えー!武田が?山下君と。連れてって下さいよ。行きますよ。」この男、やっとエネルギーを蓄積してむずむずして来た時期なのだ。そう、皆さんはもうピンと来たに違いない。1966年、「ピット・イン」でのエルビン・ジョーンズとの幻のセッションに参加したのは山下洋輔、武田和命、そしてこの吉沢元治だったのだ。だからこそ、現在、山下、武田と行動を共にする国仲なるベーシストに格別の興味を示したのも当然の話なのだ。

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