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ラウンド・ミッドナイト/宮沢昭
アメイジング・ジャズ・バラッド

内田 修

 初めて聴いた「ウィズ・ストリングス」は学生時代に買った10吋マーキュリーのパーカーだったが、当初それ程惚れ込んだ記憶はない。そんな僕の目を開いてくれたのは、この作品に感動してジャズを志したという渡辺貞夫で、その後も同じ弦つきでは、L.コニッツを金井英人に、C.ブラウンを日野皓正にその良さを教えられて、いつしか愛聴盤になったものだ。ジャズメン達が、こうした作品を格別愛するのは、何時の日か挑戦して、ジャズの持つ美しさ、優しさといった一面を存分に表現してみたいという夢を持っているからかも知れない。宮沢昭も例外ではないだろう。カムバック後の作品がすべてその年の日本ジャズ賞に輝いた第3作が、その真価を問われる重要性を持つのは言う迄もないが、不滅の「キング・ジャズ・シリーズ」で知られる高和さんのプロデュースで、「ストリングをバックにバラードを」と聞き更にアレンジを八木正生がと知って、うーんと唸ったものだ。何故なら八木は、且って「宮沢 昭オールスターズ」のピアニストをつとめ、佐藤允彦同様、宮沢昭のすごさを知りつくした男だからだ。「高和―八木」のコンビで、この作品の成功は約束された様なものだが、事実、例えば「ラウンド・ミッドナイト」では、モンク研究第一人者の八木らしく原曲の美しさを完璧に生かした上での新鮮且スリリングなペンさばきに脱帽する他はない。又、今回は、復帰後の宮沢昭の生活を支えて来たと言っても良い仲間達が、その嬉しい起用に応えて壮大なストリングに臆することなく融け込みながら、主役の自由奔放なプレイを引き出したその腕の確かさに感嘆するばかりだ。裏話的だが小津は、この拭きこみに40度の高熱を伴う肺炎をおして参加し、終了後僕の所で1ヶ月間の療養を余儀なくされながらも、淡々と「死んでもやりたかった」と語ったそのひと言に音楽家達が、この作品にかけた意気込みがうかがわれよう。だからこそ永遠の愛聴に値するこの傑作が生まれた―僕はそう信ずるのだ。

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